チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2016年6月28日火曜日

Vol26 実は一番おすすめ!カナダのキャットスキー

大人の空間チャッタークリーク

気づいたら1日遅れのアップになってしまっていた秋山です。締め切りは守らないと行けないですね。すみません。
さて今日のトピックはもちろん冬の話し! 暑い夏に冬に思いを巡らせるのは精神的避暑にになっていいですねー。
ということで、紹介するのはキャットスキーです。キャットスキー?ってなんでしょうか?

このブログを読むような日本の方の殆どはヘリスキーは聞いたことがあると思います。
そうです、ヘリコプターに乗って山の上に降ろしてもらい、ガイドと一緒に安全に高山帯からツリースキーまでを楽しみ、また下でピックアップしてもらい上に上げてもらうという、あれです。スキービデオに出ているような急斜面ばかりを滑るような勘違いをされている人もいるみたいですが、実際のお客さんは中級-上級の人なので、一番滑りやすい35度ぐらいの斜度を中心に滑るわけです。

キャットスキーとは、そのヘリ部分に雪上車(キャタピラが付いているマシーンでCatです)であがり、ピックアップポイントにまた雪上車が来て、それを1日繰り返すわけですね。

キャットスキー動画

雪上車、上についているのはお客さんキャビンです12人乗り

ここで声をあげてアピールさせていただきたいのが、カナダのキャットスキーは凄いです。
何が凄いかというと、使用する山の面積。私の冬の主な仕事は、チャッタークリークという場所でガイドをしているのですが、使用する面積は58,000エーカーもあります。
1エーカーは1224坪なので、7千万坪。んーわからないですね。
東京ドームが11エーカーなので、東京ドーム5,200個分。山手線の内側約3個分。これぐらいのエリアには旧森林伐採で使用してた林道が縦横無尽に走っているので、参加者36名、キャット3台で使用するわけです。

赤い線がチャッタークリークの営業エリアです
 参考までに約同じ縮尺で見た立山です。赤い点が立山ですね。
1日の滑走は無制限です。参加者の足並みが揃えば12本ぐらいはいけますね。標高差で5000mは滑ります。こんだけ滑れば1日で足はパンパン。マッサージが欲しくなるぐらいですね。

カナダのキャットスキーで多いのが、このような場所にヘリコプターで入山し、山奥にあるロッジに数泊しながら、毎日滑るわけです。

入山はヘリコプター!
さて、ではキャットスキーは何と比べて、何がおすすめなんでしょうか?

以前のブログにも書きましたが、カナダでのスキーのスタイルには、
1. ホテルベースの1日日帰りバックカントリー
2. 山小屋に宿泊しながら、自分で登るバックカントリー
3. ヘリスキー
4. キャットスキー

とあります。例えば1と2は自分の足で登らないと滑ることはできません。道具も特殊ですし体力も必要ですね。もちろんこのスタイルを好む人もおりますし、自分も好きです。自然と一体となる感じがありますしね。ただやはり一部の方向けでしょう。
3のヘリスキーは、まず高いです。1週間単位のツアーが多いですが、1週間で120万ほど。また規定の累積標高差を滑ったあとは、オプション扱いになるので、ガンガン滑ると数十万の追加請求が来ることになりますね。ちなみにヘリでの1日平均標高差は8千メートルから1万メール。エベレストの頂上から下まで毎日滑るわけです。そんな太もも皆さん持っていますか?
通常、1日の後半は疲れてグダグダになります。しかもそれも累積標高差カウントされていますので注意です。ヘリで山頂に向かう時間は約5分。ヘリは通常いつくかのグループで共有して使用されますので、結構忙しい感じで1日が過ぎます。

そこで出るのがバックカントリーとヘリの中間にあるキャットスキー。
パッケージは3-4日が多く、1日の標高差も3000-5000m程度。しかもキャットで目的地に向かう間は20分から長くて60分ほどあるので、しっかり休めるわけですね。

どれだけ滑りたい、どれだけお金を使いたい、どれぐらいの技術がある、によってお望みのスタイルはもちろん変わりますが、キャットは皆様が楽しめるスタイルであることは間違いなしです。

ということで、是非近い将来カナダでキャットスキーを体験してみてください!
ちなみに、キャットはどの会社も人気があるので、結構予約が大変ですのであしからず。

チャッタークリークの来年度の予約状況 "Book now"の部分だけ空きがあるとうことです。
http://chattercreek.ca/availability-2016-2017/

 朝はお客さんで賑わっています。ここから各キャットそれぞれの方向に向かいます
 各キャットは12名乗り、以外に早く進みます
見える景色はもちろん全部滑ります
ビリヤード台も完備
延々と続くキャットロード

ツアーにはフォトグラファーもついてきてくれます
フェイスショットの連発

シーズンは4月頭まで
氷河もあるのがチャッターの特徴
着替えをする共用スペース

雪が降らないとこのようになりますが、通常すぐにリセット
2015年に新調されたキャット達

これは私
豪華なダイニング

料理が豪華なのも特徴


2人一部屋

お客さんは皆同じビーコンを使用します

2016年6月20日月曜日

Vol.25 小樽赤岩

こんにちは、星野です。雪も解け、もうすぐ旭岳も山開きです。いよいよ北海道も夏山シーズンに突入します!夏と言えば、雨、汗、蚊、、ブヨ、、、ダ二、、、、ウルシ、、、藪漕ぎ、、、ではなく!緑、お花、山菜、沢登り、テント泊縦走、ソフトクリーム、良い事だらけですね!

さて今回はメンバーの一毅の故郷でもある、小樽の赤岩を紹介します。
 北海道小樽市にある小樽赤岩は、海岸沿いに広がる北海道最大の岩場です。ルート数は全部で200近くあるらしく、スポーツクライミングのルートやトラッドクライミングのルート、ボルダリングもあります。グレードも易しいのから高難度まで色々出来ます。なんといっても北海道ではあまり出来ないマルチピッチのルートが数多くあるのが魅力です。ポピュラーなルートはアンカーも整備されていて、マルチピッチの練習をするのに良い岩場だと思います。実際、数多くの山岳会が、四季を通して、講習会や訓練を此処で行っていて、北海道の多くのクライマーに親しまれている岩場です。
 小樽赤岩は古くから信仰の地にもなっていて、穴くぐったり、梯子を降りたりする「胎内巡り」と言う場所があります。下にある洞窟に入る事で胎内から生まれ変わる事を意味しているようです。
 アプローチはアドベンチャーで面白いです。
岩質は「安山岩集塊岩」と言う種類の岩だそうです。見た目が奇妙。
海を背に登るので高度感も抜群です!
 引き上げ訓練用の重りもあります。是非引き上げてみて下さい。
 めっちゃ大変ですが、一度は経験してみたら面白いです。
たまにはセルフレスキューなどもしっかり練習して、この夏も安全にクライミングを楽しみましょう!!


アメリカの国鳥でもある白頭鷲。バルディーズには沢山いるなーと思っていたら、夕方港で釣り人が魚あげてました。野生動物に楽をさせてはいけません!!それではみなさん Enjoy your summer!!

2016年6月14日火曜日

Vol 24 Mt ワディントンの反省点、改善点。


ご無沙汰してます。谷です。
さて長期登山のワディントンから帰ってきて2週間が経ち、
アルパインガイドの仕事も始まりました。先週末はコロンビア大氷原にて氷河のテクニックの講習会のインストラクターとしてアサバスカ山をガイディングしてきました。
今年はカナディアンロッキーの氷河の雪解けも早くこの夏は忙しくなりそうです。
忙しくなると今回の山行を振り返る時間がなくなるので、記憶がはっきりしているうちに
反省点等を書き留めたいと思います。自分のためにも、次に行く方のためにも。
というわけで、今回はロッキー登頂シリーズはお休みです。
この系は雑誌でも取り上げられない(結構マニアックだから)
のでブログにて補完したいとおもいます。
今回は長くなりそうなので、読むの大変そうだと思う方、登頂系の話を待ってたかたには申し訳ないです。でははじまりはじまりー。

まず結果からいうと、今回の登山は失敗に終わったと言っても過言ではないです。当初の目標サーキット(ベースキャンプからワディントンを経由し馬蹄形に戻ってくる)を達成できておらず、正直、自分自身やり切った感はないのが実情です。
この見えているすべて山々のスカイラインを左から右に一筆書きするのが今回の目的でした。
向かって左、ワディントンは大きな氷河の山、そしてコルを挟み右手は花崗岩の岩塔郡が連なります。しかしできず…

なぜそういうことになったか反省するべき点、そしてそれは改善できることだったのか、自戒の念を込めて今一度考えてみようと思います。
あげれば限がないですが。

事前準備。
一つ目、情報。
コーストマウンテンについてもっと調べれていたかどうか?
日本人の登頂記録がないこのMtワディントン(ヘリのパイロット曰く2回、日本人の団体を運んでいるのでその方々が登っていると思いますが)。
自分たちがどういうことが出来るかがいまいちわかりませんでした。(登り、滑り含め)
このエリアのガイドブックもありましたし、グーグルアースなどで地形は把握しているつもりでしたが、やはりわかっていない部分が多々あり、時間を有効に使えていたか疑問。
特にメンバーである全員が山域やルートについて同じレベルの理解度がなかったのは問題だったと思います。
コンサートに行ってその人の最新アルバムを持っているない人は楽しめないですよね。『これ何の曲?』みたいな。
曲を知っていたら、一緒に歌えてより楽しむことが出来る。これはどこに行くにも重要なことです。
また記録についても、もっと調べておくべきだったと痛感してます。未登の壁なのか?それとも登られているのか?今はアメリカン、アルパイン、ジャーナルのウェブサイトやアルピニストのサイトで世界の第一線の登攀はほとんど調べれます(特にAAJ)

実は今回の登った新しいラインは僕たちは2002年のガイドブックとカナダ人の知り合いの情報しかなかったので壁自体未登かもしれないなと思っていました。
でも案の定、下山後調べると2010年に登られており、初登者が登ったラインにも相当近く、いい登りではありましたが、発表するほどではないかもしれないと悩むレベルでした。
 スカウティングと呼ばれるこの作業、とても重要です。そしてこの作業の前にやはりその他のルートのことも頭に入れておく必要があります。

二つ目 食料
これに関しても問題が多々あったと思います。
まず、例えば同じメニューが100食分あったこと。これは味が違っても飽きます。もっと違うバラエティに富んだ行動食や食事を用意すべきでした。
嗜好品に関しても同じことが言え、もっと事前に各々の好みや食事の量などすり合わせが必要だったと痛感しています。甘いものが好き、コーヒーが好き等。
全体量にも問題があり、計画で持っていったものだけでは24日間程度でなくなっていたかもしれません。やはりもっと余りが出るように計算すべきでした。ヘリポートに行くまでに色々な形で臨時の食料があったので何とかなったという形です。
もしもっと天気が悪く、ヘリコプターが飛べなかったら、もっとハードなクライミングを日程の最後にすることになっていたかと思うとダメダメでしたね。
 こんなふうに楽しめる食事だけではなかった。

長期登山だと生活力がかなりの重要な部分を占めます。
そういう意味では、今回長期登山の生活経験がないものがいたというのはかなりの問題で
3月、4月中にもっと泊まるだけの準備山行をしなければいけませんでした。
(日本だと冬の黒部横断、日高縦走などで経験できる)
またアラスカ、デナリなら同じ長期テント泊でも沢山のクライマーがいて何か壊れたり足りなくてもなんとかなるものですが、ここは一番近い高速から約100㎞離れていて基本五月は誰もこない山域です。もしひとつの装備が壊れるだけで大きな問題になってしまいます。
補給というものが一切出来ないという点、もっとしっかり考えておくべきだったでしょう。
またベースキャンプでも装備、道具、過ごし方についても個々が計画になかったものを持ってきていたので何とかなった部分は多々あります。一か月ジェットボイルで煮炊きは厳しい部分もあるでしょう。

生活しかり、氷河登高しかり、ルートや山域の情報しかり、クライミング能力ではなく総合力というものが残念ながら全員が低かったように感じます。
とにかくワディントンに来てから学ぶことが多く、登りに集中できなかったのはサーキットをできなかった大きな理由です。
これらが最初から同じ足並みであれば、結果は違っていたかもしれません。

そして三つめ、自分自身の準備
自分たちの心身が準備で来ていたかどうか?
体力、クライミング能力、精神、ワディントンと自分がちゃんと向き合えていたかどうか?
個人のトレーニングは出来ていたかどうか?
自分自身もそうですが、間違いなく、準備不足。
今回二つの怪我により目的を完遂することはできませんでした。
しかし、それをもし運が悪かった、たまたまそうなってしまった、と思っていたり、
記憶が風化するようであれば、次の登山はないでしょう。
というより、次は怪我ではすまないかもしれません。

写真だけみるとなんかいい感じですが、氷河登高や生活など個々でスキートラバースをするなどで事前トレーニングする方法はあったはず。 

事前準備の考だけまとめると、
まず確実に言えること事前山行(プレ)が出来なかったことに挙げれます。
3人が別の国に住んでいるというのは非常に難しい問題であり、出来なかったのは仕方ないという話もありますが、少し前に事前に入国してもらいプレ山行をするべきでした。
それにより、装備や食事、情報などの共通のスタンダードが生まれ、その基準にみんな到達するようにわずか一週間でも努力できたはず。

また事実上のリーダーが不在であったこと。昨今日本では言われていますが、怒ることが出来ない人が増えた。やはり注意すべきことを注意できない。これでは数日の山行ならいいですが、一か月では問題になってきます。一番は成長できないということ。自分の物差しではなく、チームの物差し、ゴールを基準として、やはり足りないものを補うために討論をもっとしなければいけなかったと思います。

あとは初見(オンサイト)であったこと。これはどうしようもないですが…
どんな素晴らしい登山も何度もその地に通い、その山に通い成し遂げられています。すごいクライマーが初めていってすごい登りしちゃったなんてことは先人の情報があるからこそ(ホノルドがいきなりパタゴニアに行って結果を出せるのはトミーというパートナーがいて、そしてその上にはロロが何十年もそこに暮らし通った情報があるうえに成り立っているわけです)後輩はその経験の上、初登頂、初登攀が出来るわけです。なので山岳会や同人などクラブになどに入っているということは素晴らしいことですね。僕は入っていませんが…

最後にビザの問題や、外国人労働者の仕事の問題など挙げればきりがないですが、
それにより集中できなかったのも確かです。
海外に永住権を持たない一時滞在者が生活をしながらこのような長期登山は、非常に難しく
常にストレスを抱え、資金や装備等に苦労しなければいけなかったのも事実です。
(正直日本に居た方が何倍もスムーズに行え、サポートしていただける方々への報告や挨拶なども行えます。)

その不安定な海外生活の中で今回無事三人、登頂できたことは、沢山の方々、メーカーのサポートがなければ不可能だったと思います。ありがとうございました。

今読み返すと、うんざりしますねこの文。まだまだあるけど準備の考だけでもういいかなと思ってしまうレベル。

次はよかった点のレビューにしようかな…。でも装備品の問題点も書かないとだし…。

でもあと何年かして見返す時、そして次世代が、長期海外登山に行くとき、何かの役に立てば幸いです。
では。