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2017年12月6日水曜日

Vol.101 カナダのアイスクライミング安全規約




ご無沙汰してます。谷です
さて12月に入り、日本でもアイスクライミングのシーズンが始まった感じでしょうか?
カナダは今年は最高のスタートというくらいコンディションが良く、沢山のミックスやアイスの初登がされました。未だに未登のアイスのルートがあるなんて信じられませんが
正直、後10年は行ける気がします。皆んなに長いアプローチをこなす気があれば(笑)

さて今回話は山のマナー、クライミングのマナー、スキーのマナーです。エチケットですね。
ちなみにマナーというのはもちろん後世に今の素晴らしい自然を楽しんでもらうという目的がありますが、一番は安全です。
マナーを守ることによって安全、安心に楽しく山で遊ぶことができます。
事故がなければエリアが封鎖されることもないし、ゴミを散らかすことで野生動物が人間に近づき、事故が起きてしまう(クマ問題など)ことも防げます。実は自分たちの安全を司っているのがマナーでもあります。
夏山のマナーは日本はすごくて、どんどん改善されてます。正直カナダより意識が高いのかなって思うところもたくさんありますね。
しかし冬の山をする人が少ない日本では冬のルールはあまり知られていないのではないかなって気がします。
やはり日本では、冬山をやるのはエキスパートってイメージが強いからでしょう。
しかし「冬山をやってる人はこんなこと知ってて当然」と思っていること自体が小さなミスを大きな事故に変えてしまう可能性があるのです。
要は初心者も、上級者も、外国人も、地元の人も、みんながわかるスタンダードがあれば
安全であり、その山域やコミニティーは発展して行くと思います。

ちなみにカナダのアイスクライマーのための雪崩情報はこちら
下をクリック↓
カナダでアイスクライミングする注意点

カナダでアイスクライミングする注意点その2

先週、いつもは雪がないロッキーで当てました!!ゴーグルの下はニヤケ顔であろう裕司さん
この雪の状態にロッキーもなるわけですね。つまり雪崩ギアはいるでしょう、やっぱし。


さて、僕がニセコ比羅夫でスキーパトロールとして働いていたときニセコルールというものがあり、基本的なスキー場をルールや雪崩、スキー場からアクセスするバックカントリーなどのルールが示されていました。(外国人が多かったこともあると思いますが)
みんながそのルールを尊重し、守ることで誰もが共通意識の中、スキーを楽しんでいたのを覚えています。
更に言えばスキーはそれだけ業界も大きいし、お金が動くのでこういうルールの作成は早いと思います。

クライミングに関しては、夏は外的要因を除くことが比較的できるのであまり聞いたことがないし、一般的なマナーはもちろんありますが、(チョークを残さない、トイレ問題など...)
特に安全に関するルールなどは実はまちまちだったりします。ここカナダでもそう。
ただ冬のクライミング(特にアイスクライミングは)に関して落氷の事故や雪崩の事故がここ最近多く、またヨーロッパ人(強強クライマー)が地元のクライマーとルートの追い抜きなどで揉めることが出てきていて、今年からカナダではアイスクライミングの安全ルールが制定されるみたいです。(2017年12月4日現在はまだ)

またいつ、何処の協会がこれを制定するのかははっきり決まってません。(Paks CanadaかACMGかACCなど)
ただ原本を入手したので一応僕なりに訳して載せてみます。直訳すると変なとこは変えさせてもらいました。(今後変わる可能性あり)
よく考えてみれば、このような安全規約はどの山域でも使えることで、例えば日本の北アルプスの各山小屋にこのようなルールがしっかり掲示されていれば、鎖場の渋滞や事故、落石などの事故も軽減されるのになって日本にいたときに考えてましたね。

では本題です。

Ice Climbing Responsibility Code
アイスクライミング安全規約。

1. BE RESPECTFUL – Everyone has the right to a safe and enjoyable experience. Educate others with respect, and be educated with dignity. Engage in public forums as you would when face to face. 

他のクライマーのことも尊重しましょう。
全てのクライマーが安全に、そして楽しくアイスクライミングする権利があります。
ルールを知らない人に教えるときは優しく、相手のことを考えて。
また教えてもらうとき、注意を受けたときは真摯に受け止めましょう。

そしてクライマー以外の人たちともしっかりコミニュケーションをとっていきましょう。

2. LEAVE A NOTE  A note on your dashboard stating intended route, party size and time you left the vehicle will help others in their decision making. Write in the dirt on your rear window if you don’t have paper.

行き先を書いたメモを車に残しましょう。
カナダでのアイスクライミングは基本車で移動します。
駐車場を出発する前にダッシュボードに紙で登るルート、パーティーの人数、今現在の時間(数時間離れていれば、登れるとこもあるので)
もし紙がなくても、車の後ろのミラーに同じことを書いておくこと(雪国で運転したことがある人なら分かりますが窓が雪や埃で汚れているので書くことができる)
ちなみにこれは7、8年前からこのエリアでは当たり前になってます。

これをするだけで2番目以降のパーティーの方はアプローチをせずともこの時点で他のクライミングエリアに行くことができます。


3. FIRST PARTY ON THE ROUTE TRADITIONALLY HAS THE RIGHT OF WAY. – Passing others on a climb without clear communication and permission can endanger everyone involved. However, passing can be done respectfully and safely in some situations. All parties involved should communicate their plans and concerns clearly. If the 1st party on the route does not feel passing can be done safely then the other parties should wait their turn, negotiate to climb one person at a time with the 1st party or retreat.

最初にそのルートに着いたパーティーが最初に登る権利がある。
後から来て追い抜きは原則として禁止。
しっかりコミニケーションが取れていて、またはルートによっては複数ラインが取れる(幅が広いルートなど)場合など、状況に応じて最初のパーティーに許可をもらい、抜くことができる。
ロープを跨ぐことは非常に危険であり、もし落ちたとき他のパーティーを巻き込んでしまう可能性がある。
他のパーティーとコミニケーションをしっかりとること。これが一番重要。
コミニケーションは世界を救う。


4.CONSIDER THE OVERHEAD HAZARD – If you do have permission to climb beneath or adjacent to others, plan out your stances to maximize shelter from ice fall which can bounce far and in unexpected ways. 
落石、落氷を十分配慮。 
もし2番目のパーティーとして登る時も必ず最初のパーティーのクライマーに許可をもらうこと、なぜなら彼らが氷を落とすことであなたのパーティーに怪我をさせてしまう可能性がある。
あなたがもし世界最高のアイスクライマーでも落氷を必ず起こしてしまうものです。
また二番手で登る場合でも落石落氷などからシェルターになっている場所でビレイポイントを作りましょう。アイスは予期せぬ方から飛んでくるし、バウンドしたりします。


5. AVALANCHE RESCUE EQUIPMENT. Always consider carrying an avalanche transceiver, probe and shovel when travelling in avalanche terrain. This may be on the approach, the descent or the whole day. This practice can potentially save the lives of your friends, fellow climbers, rescuers or yourself . 
雪崩ギアが必要か考える。
アイスクライミングに行く場合、常に雪崩の危険を考えましょう。
スキーと違い、我々は雪崩の地形に一日中いることになります。
ルートによっては登攀中も必要になることもあります。
また小さな雪崩でも、クライマーを氷から落とすには十分な力があり、
怪我をする可能性は非常に高いと言えます。
また、ラッペル下降のラインやルートの上部の雪崩地形、アプローチの沢状の地形など、ルートには入らなくとも、その前後で必要になる場合もあります。
雪崩のギアをみんなが持つこと(そのギアを正しく使えるトレーニングをする)で、見知らぬクライマーから自分の友達仲間、そして自分自身をも助けることになるのです。

以上
グレード6を登るアークテリクスアスリートのJon walsh。この時、僕らは雪崩ギアを登ってる時は持っていませんでした。
雪の状態が安定してたので、取り付きにおいて行きました。
やはり全ては状況次第ですね。それを学ぶのも冬を楽しむクライマーの責任でもあります。

もちろんこれが全部できない時もあります。ルイーズフォールやボージョーレフトなど観光地やスキー場と駐車場を共有してる場合など特にそうです。車にメモを置いても誰もみないかもしれないし。
でも、できる限りやってみようと、これが基準としてあるよということです。
山にルールはいらない、自分で考えるべきという意見もあると思いますが、
プロフェッショナル、レクレーショナルどちらの人も共存共栄していくため必要なのかもしれませんね。
単純にいうと早く起きて他のパーティーより早く取り付いて、そして午後はビールで乾杯。それがカナダでは常識になる日がすぐそこに来ているようです。


今年も世界中からカナディアンロッキーのアイスにたくさんのクライマーが来ますが、
これによって今シーズン、少しでも事故が減るといいですね。
では日本でも安全第一に冬を楽しんでください。

良いお年を!!




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